【五条悟:夢小説】#2 交差する世界線

夢小説 五条悟 月夜の夢帳(夢小説)
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「僕の名前は五条悟。東京都立呪術高専の教師。
好きなものは甘いもの。嫌いなものは偉い人。」

五条は簡潔に述べた。

知ってる。
すっごい知ってる。

でも
ルナは、咄嗟に【知らないテイ】を貫こうと思った。

言ったら終わってしまう様な気がして。
せっかく会いたかった人に会えたのだから、会話ができているのだから。
もう少し、このまま…

“夢の中の現実”
ルナがここ数日
いや、もっと長い間通っていたこの放課後の世界。
いつも同じ夕暮れ、同じ路地、同じ猫。
ハートフルで、ちょっと救われる、私の逃げ場。

呪術廻戦の世界と繋がったのは、寝る前に考えすぎたせいかな…
どうせだったら、いろいろ話してみたい。

「あのっ…」

問いかけに応えるように、五条は
ルナに視線を向た。
アイマスクで目が隠れてるのに“見られてる”圧がすごい。

聞きたいことが山ほどある。
(やばい、推しと会話してる!)

高揚する気持ちを抑えながら、
ルナは深呼吸を一つした。
これが、本当に呪術廻戦の世界なのか確かめたい。

「……さっき、なんか黒い変なのが出てきて襲われたっていうか、あれは何ですか?」

「呪霊。」

「やっぱり!!(思わずワクワク)」

正直、襲われた人間とは思えない妙なテンションを見せてしまった。

「…呪霊、わかるんだ?もしかして普段から怖い思いとかしてた?」

「いやっ?初めてですけど。」

「君さぁ…もしかして」

妙な反応を見せた
ルナの瞳を、五条はグッと近づいて覗き込む。

「はい!??(近い近い!!なんかいい匂いまでするっ♡)」

「……まぁ、……今はいい。」

(バレて…ないよね汗)

五条はフッと笑ってルナから離れて会話を続けた。


「さっきの猫のことなんだけど」

改めて、五条は
ルナの足元を指差した。

五条の言葉に
ルナはいなくなった猫の温もりを思い出す。

「あの猫って、呪霊だったってことですか?」

「いや…ちょっと違う。」

五条は軽く空を見上げた。

「君が具現化して見てたのは呪霊じゃない。“死んだ猫の魂”」

「……魂…」

ルナはポカンとした。

「全然気づきませんでした…」

「だよねw僕が君をずっと見てたのも、それがちょっと気になってね。」

「ずっと見っ…!?え、いつからですか?」

「ん〜2ヶ月くらい前から、かな」

「っそれ!!もっと早く教えてほしかったんですけど!」

五条は少し驚いた様子だった。

「え何?怒ってる?」

「いえ!!ありがとうございます!!!」

隠しきれない想いの昂りを、一言に込めて
ルナは思わず叫んだ。

「??」

夢の中に現れ続けた小さな猫は…五条悟に引き合わせるためだったのだろうか。

わからないけど
そうだとしても
そうじゃなかったとしても
この夢を何度も繰り返し見続けていたその間、五条悟は私を認知してくれていたってことか?

こんなご褒美って…
夢なら覚めないでほしい。


「でね、本題なんだけど。その猫のおかげで分かったことがある。」

ルナはハッとした。
あ、そうだった。
今は五条悟と会話の真っ最中。

夢だと思ってたら勿体無い…

ルナもこれを“現実のものと認知”して五条に向き合う。

「…なんですか?」

「君の呪力の性質」

(五条悟が呪力って言った!呪力って言った!公式用語!)

テンションを飲み込んで、ルナは真面目な顔を作る。

「私…呪力持ちですか?どんな??」

「君さ、霊感ないっぽい感じだったけど、呪霊とか、呪力とかは説明受けなくてもわかるクチ?」

ぎくっとした。

「いやッ??怖い話とか都市伝説とか?そういうのが大好きなもので!!ちょっとその手の話はイケるクチです!!」

「…そっか、なら話は早い。」

…誤魔化せた…?

「持ってるよ呪力。しかも、かなり自然に回ってる」

「??……」

「普通の人はね、呪力は持ってても扱えないことの方が多い。」

五条は指先で空をなぞる。
そこに見えない線を描くみたいに。

「でも君は自然に具現化して“見える”さらに“触れる”ことができる。そして呪力が勝手に循環して君を守ってる」

「……えっと…何もしてないですけど?」

「してないようで、結構できてる。あとーーー」

五条悟は少しだけ声を落とした。

「君、あの猫を“祓ってない”」

「……え?」

「普通の…僕らみたいな呪術師は、呪霊を壊して終わらせる。祓うってやつ」

(――はい。そうですね♡)

「あの猫、君が終わらせたんだけど…僕らがやるソレとは違うね」

五条の言葉が、まっすぐ刺さる。

「君の呪力は“寄り添う”タイプ。未練をほどく。安心させる。……ちゃんと“成仏”させることができる。」

「成仏…」

あの猫は…
いつも私の声に反応して寄ってきて。
撫でると目を細めて。
猫缶を食べ終わると、満足そうに丸くなって。

何気なく一緒にいたことが猫にとっては未練がほどけていく過程だったのかもしれない。

「あのコを……」

ルナは路地裏の影を見た。
ダンボールの影から、猫が出てくることはなかった。

「私が?……成仏させた?」

「おそらく呪霊と対峙した危機感で君の呪力が覚醒した…かな。君が壊さず“終わらせた”」

ルナは違うと思った。
私の呪力が覚醒するのであれば、五条に出会ったからだと根拠のない自信さえ覚えた。

(…本人には言えないけども…。)

「能力としては、かなり希少。呪術界でもほぼいないタイプだね」

五条はそう言ってから、少しだけ目線を下げた。

「……でも、危険」

空気が変わる。
さっきまでの軽さが無くなった。

「死者の魂に寄り添いすぎるのは、君の心が削れるんだよね」

「……え」

「さっきの猫の場合はまだ良かった。けど、呪霊の類は負の感情の塊だから…」

五条は言葉を選ぶ様に一拍置いた。

「その感情を“無自覚で受け取る”のは、君が壊れる」

「……私、見ず知らずの呪霊に寄り添ったりしませんけど…」

五条は即座に返す。

「残念ながら、呪霊は君に寄ってくる。」

断言
最強の声は、こういうとき怖い。
胸がきゅっと縮んだ。

おかしいな…
二次元の世界だったら、俯瞰して見てるんだったらコレかなり面白い展開なのに…
現実という認識だと恐怖を覚えた。

「君は呪霊に狙われやすい。さっきみたいなのがこれからも来る」

ルナは息を飲んだ。

「……さっきの、また?」

「そう。」

「……私、戦ったりとかそういうのは無理かと思うんです…けど…」

顔が引き攣るルナを安心させるように五条は小さく笑った。

「だよね。だから…安全な場所に来る。守られながら力の使い方を覚えよっか。」

「……安全な場所?」

「東京都立呪術高等専門学校」


ルナは顔を上げ、五条を見る。

「……私、戦える様になりますかね?」

五条はニヤッと笑みを浮かべた。

「君は戦わなくていい。成仏させる、だ。」

ルナは空を見上げた。
小さな猫が笑った気がした。

「……分かりました。転校、ですね。」

「ま、クラスメイトは面白い奴らばっかだし、僕、最強だから。安心して。」

『━━最強だから━━』

デタ━━(゚∀゚)━━!!

生の最強を目の前にするとこんなにも心強いものなんだな。

「君、名前は?」

夜月ルナです。」

「OK。じゃ明日から呪術高専来てね、手続きは僕がやっとくから。」

五条はルナに背を向けて、軽く手を振る。

「またね、ルナ

ッッッッ!!(*゚Д゚*)

五条悟が背を向けてくれていて助かった。

推しから名前を呼ばれるだけで腰が砕けた…

心拍数の急上昇を収めながら
ルナは五条が見えなくなるまでその背中を見送った。

((「またね、ルナ」))

この世界から、現実へ。
現実から、またこの世界へ。

私はきっと、行き来できる。

誰にも言えない確信を抱えたまま
ルナは夕暮れの路地裏から、ゆっくりと足を動かした。


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